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食品

投稿日:2023.01.18 
更新日:2023.02.06 

食品工場のIOT・ロボット導入事例を紹介

近年、さまざまな業界でIT化が進む中、一部の食品工場でも、ロボットの導入による人件費の削減や人的ミスの削減、生産性能向上など、さまざまな成功事例が報告されるようになっています。
ただその一方で、食品工場においてロボットの活用範囲を拡大していくためには、解決しなければならない課題も多く見つかっているとも言われています。当記事では、食品の製造現場における最新技術の導入について、実際の活用事例や今後の課題などを解説します。

 

食品工場へのロボット導入の課題とは?

ロボット導入について検討した際に、取り扱う商品や作業工程などによっては導入がスムーズに進まないケースもあるようです。以下で、食品工場特有の課題をいくつかご紹介します。

  • 少量多品種の食品を取り扱う食品工場がも多い
    製造工程の中にロボットを導入し食品を取り扱う場合、扱う食品ごとにエンドエフェクタ(ロボットアームの先端)を使用しなければいけません。ただ、食品工場の中には、少量多品種の食品を取り扱う施設があり、そういった施設では、エンドエフェクタの交換だけでも頻度が高く、交換の度に洗浄・殺菌も必要になりますので、頻度によってはロボットの導入が生産性の悪化を招いてしまう可能性があります。
  • 衛生管理が難しい
    徹底した衛生管理により食の安心・安全が確保されています。手洗いや殺菌消毒などのルールを食品工場で働く人全員が守ることで衛生状態が保たれます。しかし、ロボットの場合は、作業中に飛び散った食品やその他材料が付着した状態で作業を続けてしまう恐れもあるため、より厳しい管理体制が必要になります。
  • 人が作業したほうが早い作業が多い
    ロボットであれば長時間安定して作業させることができるというメリットが得られる一方で、食品工場の作業の中には、人なら難なくこなせることが、ロボットが同じ作業をすると時間がかかってしまう作業が多くあります。このような作業にロボットを導入した場合、作業効率が低下した分、導入にかかったコストを回収するのに時間がかかります。最近では、ロボットを多指ハンド化することで、前述のような作業でも素早くこなせる工夫が施されていますが、一方、附帯機能が増えることでロボットの導入コストが高くなる点が課題になるでしょう。

このように、ロボットなどの最新技術の導入ですが、取り扱う製品や作業内容の特殊性から、技術の活用にはまだまだ解決しなければならない課題が多いのが現状です。

食品工場へのロボット導入は、特定の作業や工程に限定されており、徐々に活用の幅が拡大していっている段階だと言えるでしょう。

実際の導入事例について

ここでは、食品工場で行われた実際のロボット導入事例をご紹介します。

画像処理技術により重量計算を行う焼鳥整列ロボットシステム

この事例は、焼鳥製品の串刺し作業のロボット化です。この食品工場では、1ライン3~4名で行っていた焼き鳥製品の串差し作業に、ロボットを導入することにより無人化に成功しています。

引用:ロボット導入実証事業 事例紹介ハンドブック2018 P.6

焼き鳥製品の串差し機は昔からありましたが、従来の機械は食材は人間が目視で確認し機械に投入するという仕組みでした。品質を安定させるためには、肉やネギの重量を目視で瞬時に判断し、機械に投入しなければならないことから、想像以上に高い技術と経験が必要です。そのため、この工程はこれまで機械では不可能だとされていました。

しかし、画像認識技術の飛躍的進化により、自動化が実現しました。この事例では、大きさにバラつきのある原料を3次元画像処理によって形・重量・方向・順番を考慮しロボットによるハンドリングで串刺し機へ投入するようになっています。

これにより、これまで3名投入していた人員が、品質のチェックのために1名配置するだけに収まり、労働生産性が約2.5倍になったとされています。この他にも、画像認識で最適な食材をロボットが選ぶようになったことから、熟練の必要がなくなり、製品のばらつきも解消されるというメリットが得られています。

低温環境下での計量工程の自動化

食品の製造現場では、重量物の持ち運びや、低温環境での作業など、過酷条件による従業員の身体的負荷が高い作業が少なくありません。ここで紹介する事例も、低温環境下での計量工程を自動化することにより、従業員の身体的負荷の軽減が実現しています。


引用:食品製造業の生産性向上事例集

冷蔵庫内特殊仕様(特殊表面加工)の無人自動計量システム導入により、低温環境下での計量工程を無人化することができ、なんと生産性向上率は960%と紹介されています。さらに、以前は人が食肉に触れている時間が長くなると、食肉が変色してしまいクレームになるといったことがあったそうですが、計量を無人化することにより、このようなクレームの心配もなく、より安全な食の提供が実現しました。

ビーコンを活用した工程・作業者毎の作業データ収集分析による作業の最適化

最後は、食品工場におけるIoT化の導入事例をご紹介します。こちらは、食品関連施設以外にも応用できるのではないかと考えます。

この事例は、施設内での従業員の動きを見える化し、「どこに無駄が発生しているのか?」「何をすればより生産性が高くなるのか?」など、課題と解決策の検証を行った事例です。詳しくは、以下の画像を引用しますので、ぜひ参考にしてください。


引用:食品製造業の生産性向上事例集P.55

食品工場などの製造現場には、それぞれの施設で培われてきた『やり方』というものがあり、「長くこの方法を採用していたのだから、これが最も効率的!」と盲目的に考えてしまっているケースがあります。この事例では、施設内で働く作業員の行動履歴を事細かく取得することで、「どこに無駄が発生しているのか?」を客観的に確認することができ、問題を改善することで大幅な生産性向上を実現しています。

以下の記事でも食品製造工程で活躍するロボットを紹介しています。

食品製造業界における人手不足の現状。ロボットの活用で何が解決できる?

まとめ

今回は、食品工場で進むIoT化やロボット化について紹介しました。IoTやAI、ロボットなどの最新テクノロジーは、さまざまな業界で取り入れられるようになっており、生産性や業務効率の向上に役立っていると言われています。さらに、少子高齢化による労働人口の減少が問題視される日本では、今後ロボットなどのテクノロジーによる自動化は欠かすことができない技術になっていくと考えられています。

食品を取り扱う食品工場では、これまでロボットの導入が非常に難しいとされていて、他の製造業と比較すると自動化されている部分が少ないのが実情です。ただ、最近では、画像認識技術やAI技術が飛躍的に進化してきており、今まで不可能であった部分の作業をロボットに任せることができるようになっています。

こういったロボットの導入や設備の入れ替えの際はレイアウト設計の見直しも重要です。最新技術を導入したが、工場内の導線が悪くなってしまうと期待したほどの効果が得られません。そうならないためにも、ロボット導入や設備入れ替えの際は食品工場建設のプロFACTAS®にも是非ご相談ください。

この記事を書いた人

sande

安藤 知広

FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長

1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。