食品
投稿日:2024.07.31
厳しい暑さが続く夏は、職場における熱中症予防対策が重要視されています。
特に食品製造業では、加熱調理の工程で熱を使用し、大量の水蒸気が発生して高温多湿な環境になります。さらに、作業者は衛生服やマスクを着用しなければならないため、熱中症の発症リスクが非常に高いです。実際に労災に認定される事例もあるため、作業者の安全を守るためには万全の熱中症対策が必要です。
また、食品産業は、他業界と比較して労働災害が多い職場です。そこで、農林水産省が公開している、「食品産業の安全な職場づくりハンドブック」を参考に、食品産業界の労働災害の現状と、食品工場における効果的な熱中症予防対策について解説します。労働災害の発生は、企業にとって大きな痛手です。どのような危険があるのかを把握し、適切な対策を講じましょう。
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食品工場をはじめとした食品産業界では、さまざまな労働災害が発生しています。例えば、床が濡れた状態で作業者が転倒する、製造機械に巻き込まれる、高所からの墜落・転落などの事例があります。
画像引用:食品産業の安全な職場づくりハンドブック
上の図のように、食品製造業における労働災害は、全産業平均を超えるだけでなく、他の製造業と比較しても圧倒的に発生頻度が高いです。
食品の製造にかかわる作業では、調理を行ったり、水や油を扱う場面が多いことから、労働災害の発生頻度が高くなる傾向にあります。それでは、食品産業が他業界と比較して労働災害の発生頻度が高くなるのはなぜなのでしょうか?以下で代表的な理由をご紹介します。
①職場環境の特徴
食品産業における労働災害は、職場環境そのものが原因となるケースがあります。例えば、以下の要因が指摘されています。
②働く人の特徴
食品産業における労働災害は、そこで働く人の特徴が関係しているケースも多いとされています。
③食品企業の特徴
労働災害の発生は、企業そのものが原因となっているケースもあります。特に、食品製造にかかわる企業の場合、以下のことが原因で労働災害を招く危険が高くなります。
食品産業で労働災害の発生頻度が多いのは、上記のような理由があるとされています。なお、食品産業における事故事例や安全対策については、農林水産省が動画を作成し公開しています。ぜひ確認してみてください。
農林水産省の公式動画:食品産業分野:作業安全学習教材「労働安全の確保に向けて~講座紹介~」
食品工場で発生する労働災害では、熱中症予防対策も重要な要素です。昨今では、夏の気温が35℃を超える日も増え、普通に生活しているだけで熱中症を発症する人が急増しています。熱中症は、重症化すると人命にかかわる非常に深刻な問題に発展します。そして、コロナ禍以降、職場での熱中症による死傷者数が急増し、厚生労働省が「職場における熱中症予防対策」というキャンペーンを行う事態にまで発展しています。
引用:厚生労働省webサイトより
そこでここでは、これから本格的な夏に向けて、食品工場が行うべき従業員の熱中症対策についてご紹介します。なお、食品工場での熱中症対策については、施設そのものに手を加えることで「熱中症を発症しにくい環境を作る」という方向での対策も考えられます。しかし、調理過程で熱や水蒸気が発生する食品工場は、どうしても熱中症リスクの高い環境になるため、作業者の行動やからだの状態に着目する方向で対策を施すことも大切です。ここでは、それぞれの従業員が今すぐにでも始められる対策に注目してご紹介します。
熱中症は、高温多湿の環境下で起こり得るさまざまな健康障害の総称です。湿度が高いと汗が蒸発しにくく、気温が高すぎると体温調節が上手くできなくなるため、熱が身体にこもった状態になり、やがて熱中症を発症します。
火を使い、大量の水蒸気を発生させる食品工場は、まさに熱中症の発症条件が整った環境と言えます。特に、製造する製品の安全性が何より重要とされる食品工場は、人が働きやすい環境よりも、食品の安全を守ることが重要視されるため、空調設備などで熱中症を防ぐことが難しい場所もあります。
そのような場合に有効な対策が、空調服やクールベストと呼ばれるアイテムです。空調服は、バッテリー駆動の小型ファンが内蔵された作業着のことで、ファンで取り込んだ外気が汗を蒸発させることで、体を冷やしてくれます。また、商品によっては首周りや袖から空気を排出することで、体の周りに熱気がこもらないようにするものもあります。ただ、空調服は、風を巻き起こすことになるため、ほこりや粉じんによる異物混入事故の危険性が高くなります。したがって、食品工場の中には、空調服による対策が難しい場所もあります。
空調服の利用が難しい作業現場の場合は、クールベストと呼ばれるアイテムを利用すると良いでしょう。クールベストは、たくさんのポケットが用意されていて、そこに保冷材を設置することで体を冷やしてくれます。数時間おきに保冷材を交換するという手間はありますが、空調服のように製造する製品に影響を与える可能性が少ない点がメリットです。
熱中症は、温度が高い環境下に長くいることで、大量の汗をかき、それに伴って体内の水分や塩分が失われることで発症します。
必要な水分や塩分の量は作業強度や労働環境によって異なるため、専門家にアドバイスを受けるなどして、自社の熱中症対策としてどの程度の水分補給が必要なのかを割り出してもらうと良いでしょう。なお、食品工場の場合、異物混入の防止目的で、製造エリア内に私物の持ち込みを禁止していると思います。この場合、ペットボトルを持ち込み、作業者が自己判断で水分補給することは難しいので、適切な休憩時間を確保し、水分を補給させるようにしましょう。
熱中症予防は「小まめな水分補給を!」と注意喚起がなされていますが、水分だけを補給することがかえって、熱中症の発症へとつながったり、悪化させたりすることがあります。人が大量に汗をかくと、体内の水分とともに塩分やミネラルが奪われます。そこで水分補給だけを行うと、血液中の塩分・ミネラル濃度(体内における塩分やミネラルの割合)が低くなり、これが熱中症の引き金となることがあるのです。実際に、過去に熱中症になった経験がある人の中には、「ちゃんと水分補給をしていたのに…」という方も多いのではないでしょうか。
実は、熱中症予防のための水分補給は、汗と一緒に失われた塩分やミネラルも同時に補給する必要があります。そのため、水やお茶を大量に飲むのではなく、塩分や糖分が含まれたスポーツドリンクが推奨されています。しかし、スポーツドリンクは、砂糖が大量に含まれているため、過剰摂取には注意が必要です。
そこで近年では、熱中症予防のための専用食品が開発され、さまざまな現場で活躍しています。例えば、塩をラムネのように固めた塩分タブレットが数年前からさまざまな食品メーカーによって販売されています。さらに、熱中症予防の食品では、建設現場の職人たちの負担を和らげるために三和建設株式会社が開発したゼリータイプの「ゼネコンがつくったしおゼリー」が、さまざまな業界から好評を得ています。
熱中症予防は、水分だけでなく、塩分やミネラルも効率的に摂取する必要があるため、企業側が熱中症予防のための食品を用意し、休憩所などに常備しておくという対策がおすすめです。
「ゼネコンがつくったしおゼリー」は1本あたり約0.15gの塩分が配合されています。タブレットタイプの塩分補給ではなく、80%以上が水分のゼリーに塩分が配合されている商品のため、お子様や高齢の方でも摂取しやすい点が大きなメリットです。
また、ゼリータイプの食品なので、冷蔵庫などで十分に冷却しておけば、夏バテで食欲が減退している時でも食べやすく、キシリトール配合による冷涼感を感じることが可能です。さらにしおゼリーは、肌の潤いを保つコラーゲンやビタミンD、抗酸化作用に優れた柿渋タンニンなど、さまざまな栄養素が配合されています。そのため、単なる熱中症予防食品としてだけでなく、美容効果なども期待できます。
■ゼネコンがつくったしおゼリーの詳細
「ゼネコンがつくったしおゼリー」は、三和建設が運営するECサイトにて販売しています。工場の熱中症予防対策をご検討中の方は、以下のサイトからご購入ください。
> 「ゼネコンがつくったしおゼリー」を購入する
今回は、食品工場における労働災害の現状や職場で熱中症を発生させないための対策について解説しました。
食品工場をはじめとする食品産業は、他の産業と比較すると、労働災害の発生頻度が高いというデータがあります。特に、熱中症に関しては、食品の製造工程で火を使うことで高温になる、大量の水蒸気を発生させることで高湿状態になるなど、熱中症リスクが非常に高い環境になりやすいです。さらに、食品の製造現場では、品質を守るために空調による温度調整など、設備を利用した対策が難しい場合もあります。
食品工場での熱中症を予防するためには、企業が適切な休憩時間を設定し、休憩中に水分や塩分、ミネラルをきちんと補給できるようにすることが大切です。最近では、工場の休憩所に冷蔵庫を設置し、スポーツドリンクなどを企業側が用意する対策が行われるようになっていますが。しかし、スポーツドリンクは糖分の過剰摂取につながるという危険性があるため、弊社が開発したしおゼリーなど、熱中症予防専用の食品を常備する方法をおすすめします。
この記事を書いた人
安藤 知広
FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長
1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。