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工場

投稿日:2023.01.28 
更新日:2023.11.07 

食品工場のレイアウトの基本について解説

食品工場のレイアウト

食品工場は、高い衛生管理が求められます。それと同時に生産を担う施設であることから、生産性を高めるために「機能的で働きやすい工場」である必要があります。
その食品工場のレイアウトを決める際には、どのような点に注意すべきでしょうか?工場の新設やリニューアルの際には、製造設備や人の配置、作業動線などについて、どう設計すれば衛生的かつ生産性が高い工場になるか頭を悩ませている事業者様は多いです。
そこで当記事では、工場レイアウトの基礎知識や、働きやすく機能的で衛生面にも配慮した食品工場にするためのポイントをご紹介します。
FACTAS の工場建設流れはこちら

 

工場レイアウトの基本と種類について

工場レイアウトとは、工場における設備や人の配置のことを指しています。工場の生産性を高めるには、従業員の安全性を考慮することはもちろん、コストや作業動線など、さまざまな点を考慮して適切な配置を考えることが大切です。

工場のレイアウトは大きく4つの種類に分類することができ、生産する品目やその数量、製品バリエーションや製造期間などから、目的に最も合ったレイアウトを選ぶことが重要とされています。以下で、代表的な4種類のレイアウトの概要をご紹介します。

①ジョブショップ型

ジョブショップ型は、似たような機能を持つ機械や設備をまとめて配置する工場レイアウトを指し、中小の工場に多く見られる配置です。例えば、精肉加工工場の用にあるエリアにはスライサーを配置し、別の場所にはチョッパーを配置するといったレイアウトです。これであれば、「どこに行けば目的の作業ができるのか?」が明確になります。

ジョブショップ型のレイアウトは、一人の作業員が複数の工程を担う作業に適していて、作業員は特定されたいくつかの機械・設備を担当することになることから、熟練工を育成しやすい点がメリットとされます。また、需要変動に応じて生産計画を変更しやすい点もメリットです。ただその一方で、機能ごとに設備が独立しているので、製造途中の仕掛品の把握が難しい事や、搬送経路が複雑になりやすいのが難点です。

②ライン型

製品を製造する流れに沿って、必要な機械・設備を配置するレイアウトで、いわゆる流れ作業による生産活動を行う工場で採用されています。ライン型は、大量生産を行うような大型の工場でよく見られる配置で、同じ製品を大量に、かつ長い期間製造し続けるのに向いています。

ライン型のメリットは、作業を行う人員は、細分化された作業の一部分を決められた方法で行うことになるため、誰が作業しても品質を安定させやすいという点です。デメリットは、生産手順の変更や生産量の調整などが難しく、柔軟性に欠ける点です。

③セル型

一人あるいは数人の作業員の周りに、必要な設備を配置するレイアウトです。分かりやすい例を挙げると、水産加工工場などのように、一人の作業員が作業台に立ち、その作業台に水産加工に必要な機械や器具が用意されているといったイメージです。

セル型のレイアウトも、一人の作業員が多くの工程を担うことになりますので、熟練工の育成に向いており、需要の変動などにも柔軟に対応できる点が特徴です。一方で、作業員頼りになることで生産性が低くなく傾向にあるため、少量多品種の商品に向いています。上で紹介したジョブショップ型とよく似たレイアウトのように思えますが、「設備があるエリアに作業員が赴く」と「作業員の周りに設備を配置する」という点で大きく異なります。

④据え置き型

据え置き型は、食品工場などでは見かけることはありませんが、工場のレイアウトの基本の型の一つとして紹介します。据え置き型は、大型の製品を据え置いて、その周囲に作業員や機械・設備を配置するというレイアウトです。船舶や飛行機など、製造する製品そのものを移動させるのが困難な場合に用いられます。

上記のように、工場のレイアウトはいくつかの種類に分けることができます。ただ、食品工場のレイアウトを考える時には、上記のような生産性だけでなく、衛生面にも注意しなければなりません。そこで、次項で食品工場レイアウトを検討する際に注意するべきポイントをご紹介します。

食品工場レイアウトのポイント

食品工場では、原材料の入荷から加工、保管、製品出荷に至る全てのプロセスにおいて、人の入退出やモノの流れも含めた一貫した衛生・品質管理の強化が求められます。併せて、前段で述べたように、生産性の向上や働きやすい工場であることも重要です。。

食品工場のレイアウト計画は、工場建設の初期段階でこうした複数の要素を考慮しながら設計が行われます。ここでは、工場の基本的なレイアウト以外で、食品工場レイアウトのポイントをご紹介します。

交差汚染を発生させない

食品工場では、衛生状態を維持するために人やモノの移動による交差汚染を防止する必要があります。

例えば、衛生的に管理された製造エリア内で働く従業員は、それ以外のエリアで作業する作業員と接触しないような導線にするなどということです。生産ラインで作業員と、事務作業などを担うオフィス部門のスタッフや工場への来客者などは、同じ通路を使用しないようにする、エントランスを分離するなどして、可能な限り交差汚染が起きにくい導線計画が必要です。

交差汚染とは

食中毒予防の3原則は、病原菌を「付けない」、「増やさない」、「排除する」である。このなかで病原菌を付けないではなく、逆に付けてしまうことを交差汚染という。 汚染度の高いものが汚染度の低いものに接触することによって交差汚染は起きる。 とくに加熱済み食品やそのまま食べられる食品では、交差汚染が食中毒発生の主原因となることが多い。

引用:一般財団法人食品産業センター公式サイトより

サニテーション動線について

サニテーション(サニタリーなど)は、工場内を清潔に保つための殺菌作業や洗浄作業などを意味します。

衛生的で働きやすい食品工場を実現するためには、生産エリアに入場する際のサニテーション導線の計画が非常に重要です。

ここに注意

サニテーションのためのレイアウトや導線を工夫したとしても、生産ラインで働くスタッフがそのフローを徹底して守れなければ意味がありません。無意識でも確実に行えるようなフローを検討することが大切です。

食品工場では、さまざまな年代の人が働いているだけでなく、異なる国籍や文化を持った人が働いているため、誰でも直感的に理解できるレイアウトになるよう、設備などの配置を考えることがポイントです。
食品工場建設・建築に関するよくある質問はこちら

まとめ

食品工場では、生産性の向上や働きやすさだけでなく、食の安全・安心を守るための高い衛生度を実現するためにも工場レイアウトの設計が大切です。

食品の製造を担う工場は、建設して一度稼働してしまうと、後からレイアウトの変更や改修を行うのが非常に困難になります。そうならないためにも、食品工場新設や改修の際には、実績豊富な食品工場建設のプロFACTAS®に是非ご相談ください。

この記事を書いた人

sande

安藤 知広

FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長

1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。