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建築

投稿日:2020.02.09 
更新日:2024.10.29 

HACCP工場建設で重要な枡・溝に対する考え方

■HACCPとは

食品工場の設計から建設、運営においては、それに関わる人の『HACCP』への理解は今や不可欠です。

今後は更に深い知識を持つことが安全な食品加工を実現すると言っても過言ではありません。 そもそも『HACCP』とはHazard Analysis and Critical Control Pointの頭文字を取ったもので、直訳すると危害分析・重要管理点方式となりますが、一般的には衛生管理システムとして知られ、近年は世界中で用いられているシステムです。 その起源は、宇宙飛行士を食品の健康被害をから守ることを目的に、アメリカでうまれました。

宇宙でひとたび食品から健康被害が起これば、当人はもちろん、ほかの宇宙飛行士にも害が及ぶ可能性があるうえに、対策がとりにくいためです。このように安全な食品を作る必要性に迫られた結果うまれたことから、世界最高水準の食品衛生管理システムと言えるでしょう。

この記事では、多岐にわたるHACCP基準の中でも、枡と溝にフォーカスを当てて紹介していきます。
FACTAS の工場建設流れはこちら

 

■HACCP建設で重要な枡・溝への考え方とは

工場において、水(水分)は清掃や洗浄、スムーズに物資を運ぶ際にも利用されます。

また、食品加工工場では加工前の食品を水で洗浄したり、お豆腐やチーズなどを製造・加工する際にも水は使用されます。

金属加工工場では、熱して形成された金属製品を冷やす際や、出荷準備の前に製品についた油を洗い流すなど、様々な工場で水は、不可欠な存在です。

そのため、床や作業台は常に水で濡れている状態の工場もあるでしょう。 しかしその水(水分)は定期的に完全に乾燥させないと、そこを媒介として、雑菌が繁殖し、加工室内に細菌が蔓延する可能性が考えられます。

そこで、水(水分)をいち早く乾燥させ清潔な状態を保つ事や、残渣や埃の清掃の容易性に重点を置き、HACCPでは枡や溝といった排水関連設備に対しても、基準を設けています。

 

食の安全対策のケーススタディはこちら

 

■枡の設置と清掃方法及び期間

食品加工場における排水枡に関しては食品加工を行うことから厨房用に加工された床向けの厨房用排水枡がHACCPの基準となっており、厨房床の排水の集水部分に設置し、水はもちろん、食物残渣などの大きなごみも除去できるようにバスケット、あるいはストレーナーを設置します。

さらに、害虫やネズミが排水管から上がって来る可能性を考慮し、トラップ機能を併せ持つ枡を用いましょう。 また、コンセントトラップと呼ばれる会所枡は、雨水や汚水が流れる通り道において合流地点となる場所に設ける枡のことで、ごみを溜める底部の溝を通る水の流れをよくする役割を持っています。

清掃方法はトラップを取り外すことで、枡内の封水を完全に排水できます。 内部に溜まった廃棄物は残り、水だけが排水されますので、廃棄物を取り除いたのち清掃します。

清掃をする期間をどのくらいに設定するかは工場にもよりますが、毎日清掃を行うのが理想的であるのは確かです。 取り外しがしやすく、内部も清掃しやすい枡であれば、清掃の手間が大いに短縮できます。

 

■溝について

HACCPの基準をクリアする食品工場にするためのもう一つの重要な水回り設備が、溝です。

いわゆる排水溝で、排水しやすいために勾配を付けておくことが重要です。 さらには、清掃しやすい材質を選び、より清掃がしやすい様に角が無い形状の溝を設けることによって、清掃作業が楽なうえに、簡単な清掃で清潔な状態を保つことが可能になります。 これなら、毎日排水溝の清掃作業に多くの時間と労力をかける必要がなくなり、一日のうちに何度か排水溝の清掃作業を行うこともできるでしょう。

HACCPの考えに沿った流れやすく、汚れが付きにくいうえに、付いた汚れが落としやすい材質を使えば、排水溝をいつも清潔な状態を保てます。

 

■排水溝の清掃とスパン

排水溝の清掃は、通常、食品工場内においては蓋がされているため、蓋を含めて排水溝の清掃をする必要があります。 排水溝そのものは汚れが付きにくく、付いても落ちやすいという設計になっていたとしても、蓋にでこぼこがあるとどうしても雑菌が残ってしまいがちです。

そのため、蓋も清掃しやすいものにするか、排水溝そのものを浅くすることも有効的です。

浅い排水溝なら蓋いらずで、排水はすぐに排水溝に流れていくことになります。 これなら清潔なブラシでこすり落として流すだけで清掃は完了です。

 

清掃しやすい工場のケーススタディはこちら

 

■さいごに

今回紹介したようにHACCP基準をクリアすることによって、清潔な状態を保てることはもちろん、清掃にかける時間も短縮できる可能性があります。そのことを考慮し、理想的な食品工場の建設に役立ててください。

 

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この記事を書いた人

辻中敏

安藤 知広

FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長

1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。

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