食品
投稿日:2021.10.15
更新日:2022.09.26
2019年10月に「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行され、日本国内でも食品ロス削減のためのさまざまな取り組みが始まっています。
現在では、24時間営業のコンビニや飲食店などが当たり前の存在になっていますが、生活の利便性が向上する裏では、日本国内だけで毎年約600万トンもの食べ物が廃棄されています。最近では、テレビなどの大手メディアでも『食品ロス』という言葉を頻繁に耳にするようになっていますが、食品ロスと聞くと、「食べ残し」や「売れ残り」など、消費者の近くで発生している食品ロスばかりが話題になっているような気がします。しかし実は、消費者の手元に届くこともなく、生産者側で不本意な廃棄が発生しているのはご存知でしょうか。
平成28年、日本国内で発生した食品ロス量はなんと643万トンにものぼっており、食品ロスの内訳は、352万トンが事業系、291万トンが家庭から出るものとされています。そして、事業系の食品ロスの原因は、「食べ残し」や「売れ残り」も相当量あるものの、「規格外品」や「返品」などから多く発生していると言われています。
そこでこの記事では、事業系食品ロスの大きな原因の一つ「規格外品」に着目し、規格外品の現状やここ数年ではじまった規格外品の活用事例についてご紹介します。
参照:農林水産省「食品ロス削減推進法基本方針について」
参照:農林水産省公式サイト
「食品ロス」は、本来食べられるのに捨てられる食品のこと指しています。一般消費者からすれば、スーパーなどに並べられた食品の売れ残りや、飲食店などでの食べ残し、家庭などでの調理過程で生じる廃棄などがイメージしやすいと思います。
ただし、食品ロスの中には、一般消費者の目に届くこともなく、本来食べられたはずのものが日々捨てられているという現状があります。それは、畑などで生産される農作物で、出荷されることもなく廃棄されている食品が多く存在すると言われています。そもそも、自然の中で育つ野菜や果物というものは、形や大きさが不揃いになるのは当たり前です。しかし、市場では厳密な規格が設けられていて、「S、M、L」や「優・良・並」などという一定の規格に満たないものは規格外品として商品化されないというのが通例です。
それでは、「規格外品」と判断され商品化されなかった農作物についてはどのように処理されたのでしょうか?国のデータなどでも、畑で廃棄された野菜そのものの数量を示す詳細な情報はないのですが、農林水産省「平成29年産野菜(41品目)の作付面積、収穫量及び出荷量(年間計)」によると、出荷されなかった農作物は年間約193万トン(収穫量約1,334万トンに対し、実際に出荷されたのは約1,141万トン)もの量になっています。
もちろん、出荷されなかった約193万トンの農作物の一部は、自家用として消費に回されていると考えられますが、多くは規格外、余剰分として廃棄されていると考えられています。
こういった状況は、市場が厳密な規格を設けているということが大きな要因の一つと考えられますが、消費者側が「見た目の良し悪し=商品の良し悪し」と言ったイメージを強く持っているということも大きいと考えられます。そこで、農林水産省は「食品関連事業者の皆様に取り組んでいただきたいこと」として、農林漁業を営む人と消費者に以下のような要望を公表しています。
規格外や未利用の農林水産物の有効活用
参照:農林水産省公式サイト
それでは、食品ロス削減に向けて、近年取り組みが始まった規格外品の活用事例についていくつかご紹介します。食品ロスの削減は、最近よく耳にする「SDGs(持続可能な開発目標)」の中でも目標として設定されており、日本のみならず世界中でさまざまな取り組みが始まっています。
まずは諸外国で行われている規格外品の積極活用事例からご紹介していきましょう。食品ロスの削減は、世界中の目標であり、諸外国でもさまざまな取り組みが行われています。
それでは日本国内での取り組みについていくつかご紹介していきましょう。
上記以外にも、大手スーパーなどでは、「規格外野菜シール」などを貼って、規格外野菜の販売をスタートしているなど、意外に身近な場所で見かけるようになっています。
今回は、食品ロス削減を実現するため、日本国内でもスタートしている規格外品の積極活用について解説してきました。規格外品は、大きさや形が整っていない野菜などのことを指しているのですが、スーパーなどで野菜を購入する時には、「見た目が良い物=おいしい物」というイメージがあることから、市場が設けている規格に満たない野菜などは、スーパーなどに並ぶこともなく廃棄されてきたという悲しい現実が存在します。
しかし、食品ロス削減が世界中の目標とされている今、何とかこの現状を変えなければならないと、さまざまな取り組みが行われるようになっています。なお、規格外品の活用に関しては、日本人の意識を変えることが最大の近道だとも考えられると思います。多くの方は「形が整った野菜が美味しい!」と考えているかもしれませんが、「形が悪くてもおいしい」ということを理解していれば、スーパーなどに並んでいても、違和感を持つ人が少なくなるでしょう。
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この記事を書いた人
安藤 知広
FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長
1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。