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投稿日:2020.12.25 
更新日:2022.09.26 

食品製造業における新型コロナウイルス感染症予防ガイドラインをご紹介

今回は、一般財団法人食品産業センターが公表した「食品製造業における新型コロナウイルス感染症予防ガイドライン」をわかりやすくご紹介したいと思います。

12月19日に日本国内で1日の感染者数の最大である3,062人を更新した新型コロナウイルス。全世界でも、700,846人と年末年始に向けて引き続き予断を許さない状況にあります。
こうした中、多くの業界団体では、業界独自の新型コロナウイルス感染予防対策などを公表するようになっています。当然、業界が違えば施設や働き方などが異なりますので、新型コロナウイル予防のための対策が微妙に違ってきてしまうのです。食品製造業界においては、もともと非常に厳しい衛生管理体制が敷かれていることもあり、ウイルスなどへの対処は比較的容易なのではと考える方が多いかもしれませんね。
それでは、食品製造業ではどういった点に注意して業務を進めていけば良いのでしょうか?ここでは、食品製造業で必要と言われる新型コロナウイルス対策をご紹介します。

 

新型コロナウイルス予防の基本的な考えについて

一般財団法人食品産業センターが公表した「食品製造業における新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」の基本的な考え方は以下のようになっています。
 

○ 食品の供給を担う食品製造業は、国民生活・国民経済の安定確保に不可欠な業務を行っており、人員や物的資源等を確保し、業務を継続することが求められています。
○ 食品製造業においては、従業員の体調管理やこまめな手洗い、アルコール等による手指の消毒、咳エチケットなど食中毒予防のために実施している一般衛生管理が新型コロナウイルス感染拡大の予防になりますが、社員食堂・更衣室・休息室など製造現場以外も含めて三つの密の発生リスクがあることを評価して適切な感染拡大の予防措置を講じることが重要です。
○ また、専門家会議提言において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を予防する観点から、手洗いや身体的距離確保といった基本的な感染対策の実施に加え、①密閉空間(換気の悪い密閉空間である)、②密集場所(多くの人が密集している)、③密接場面(互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる)という3つの条件(以下「三つの密」という。)を避けるための取組の必要性が強調されたことを踏まえ、食品製造業の規模や施設の配置の実情に応じて実施する際に参考とすべき取組を例示し、指針として示しています。
○ 事業を継続していく上では、従業員の健康の確保とともに新型コロナウイルス感染症患者が発生した場合に職場を集団感染の場とさせないことが不可欠です。このため、本ガイドラインにおいては、従業員の感染予防・健康管理・職場での感染拡大防止を実施する上で取り組むべき事項についても示しています。
引用:食品製造業における新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン

食品製造業は、私たちが生活していく上で絶対に必要になる『食品の供給』を担っている施設で、新型コロナウイルスの感染拡大が叫ばれる中でも、業務を継続することが求められています。

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためには『人との接触を減らす』ということが重要とされ、各企業ではリモートワークが積極的に導入されるようになっています。しかし、食品工場などで考えた場合、人が介在する工程もまだまだ多く存在していることから、リモートワークを導入することができない職種も多く存在しているのです。したがって、食品工場にて、業務を遂行していくためには、何より従業員の新型コロナウイルス感染を防ぐことが大切になるのです。以下で、食品製造業における感染予防対策の具体例をご紹介していきます。

具体的な感染予防対策について

食品製造業界において、事業継続を確保し、新型コロナウイルスへの感染を防止するためには、従業員一人一人が感染予防対策を実施するなど、徹底した健康管理が必要不可欠になります。

新型コロナウイルス感染予防に関する基本的知識の周知徹底

まずは従業員に対して、新型コロナウイルスに関する基本的な感染予防対策の周知を徹底することが重要とされます。新型コロナウイルスは、施設内だけで注意していたのでは意味がなく、日常生活の中において、どこにいても感染の可能性があるということをきちんと認識しなければいけません。まずは、以下のような点を従業員に周知徹底しましょう。

✓ 発熱や息苦しさなど新型コロナウイルスへの感染が疑われるときは出勤しない。
✓ 新型コロナウイルスは飛沫感染及び接触感染で拡散されていくことから飛沫感染防止のためには、三つの密を避けること(対人距離を保ち、マスク等を着用し、不要不急の会話は避けること。また定期的に換気を行うこと。)、接触感染防止のためには、手洗いの順守や手袋の着用、共通で使用する器具や設備(ドアノブやトイレ、椅子等)の定期的な消毒が求められる。
引用:食品製造業における新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン

最も基本的な部分ですが、こういった基礎知識が非常に重要になるのです。

休憩スペースや更衣室に必要な対策

休憩スペースや社員食堂、更衣室などは、多くの従業員が利用することになりますので、新型コロナウイルスの感染リスクが比較的高いと考えられます。また、すでにクラスターが発生した事例でも、こういった共用スペースでの過ごし方が要因として上がっています。

✓ 一度に休憩する人数を減らし、対面で食事や会話をしないようにする。
✓ 可能な限りマスクを着用し、不要な会話はできるだけ避ける。
✓ 常時換気することに努める。
✓ 共有する物品(テーブル、いす等)は、清潔に保ち、定期的に消毒する。
✓ 従業員が使用する際は、入退室の前後に手洗い・消毒をする。
引用:食品製造業における新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン

作業中は換気を徹底する

新型コロナウイルスの感染予防対策として『換気』の徹底が重要とされています。最近では、地下鉄などでも窓を開けて換気をしています。食品工場では、作業場への昆虫などの侵入リスクなど、換気が難しい場合もありますが、食品の衛生管理に支障をきたさない範囲で換気を行うことが求められています。

食品製造現場が換気の悪い密閉空間となることを避けるため、食品の衛生管理に支障を及ぼさない範囲で、以下のような取組を適切に行う。
✓ 換気設備を適切に運転・管理し、室内の換気に努める。
✓ 換気設備が不十分な場合には、窓やドアを定期的に開放する。
引用:食品製造業における新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン

飛沫感染と接触感染の防止

食品工場などでは、小まめな手洗い、作業時にマスクや手袋をつけるなど衛生管理は普段から徹底されていることだと思います。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためには、従業員同士の飛沫感染や接触感染の防止も重要になるのです。例えば、作業中はもちろん、休憩中やトイレの利用時にも作業員同士の距離を開けるなどの対策が必要になるでしょう。

社会的距離の確保

新型コロナウイルス感染拡大後は『ソーシャルディスタンス』という言葉をよく耳にするようになりましたね。ソーシャルディスタンスは、コロナウイルスの感染経路の一つである飛沫感染を防ぐために人と接する場合に、ある程度距離を保ちましょうということです。一般的にくしゃみは3m、咳は2m程度飛沫が飛ぶと言われていますので、厚生労働省などでも保つべき距離として『相手との距離を2m程(最低でも1m)取る』ことを推奨しています。
このソーシャルディスタンスについて、作業時に適切な距離を保てるような取り組みを行うことはもちろん、休憩中などにおいても従業員自らが対人距離の確保に努めるよう指導するようにと言われています。

✓ マスク、ヘアネット、使い捨て手袋、作業着などを着用する。
✓ マスクを着用しない場合には、人と人との間に 1 メートル以上の距離を保持し、特に会話・発声時には2メートルを目安に適切な距離を保って業務等を行う。
✓ マスクを着用しない場合の人との接触は15分未満にとどめる。
引用:食品製造業における新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン

清掃・消毒の取組

食品製造現場では、普段から徹底した衛生管理のもと、清掃や消毒などが行われています。しかし、新型コロナウイルスの感染予防を考えた場合、以下のような点に留意し取り組みを行う必要があると言われているのです。

✓ 従業員のための手指の消毒設備(霧吹きや、アルコールペーパー(ペーパータオルをタッパー等の中で、アルコール溶液に浸したもの)などを含む。)を入口及び施設内に必要に応じ設置。
✓ トイレについて、トイレの蓋を閉めて汚物を流すよう表示し、不特定多数が接触する場所は消毒を行うとともに、ハンドドライヤーのほか共通のタオルの使用は行わない。便座やドアノブを介しての感染を防止するために、便座やドアノブは清潔さを維持し、使用後の手洗いと手指の消毒を徹底する。
✓ 鼻水・唾液がついたゴミについて、ビニール袋に入れて密閉し縛るとともに、ゴミを回収する人はマスクや手袋を着用し、マスクや手袋を脱いだ後は、石けんと流水で手を洗う。
✓ 使用済みのマスクや手袋は、別の容器にて管理する。
✓ ドアノブなど不特定多数の者が触れる場所については、清潔に保ち、定期的に消毒を行う。
引用:食品製造業における新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン

可能な部分はテレワークを導入する

食品製造施設でも、職種によってはテレワークが可能です。業務の特性上、テレワークが難しい部署もあるのですが、可能な限りはテレワークや時差出勤などの取組を行うことが推奨されています。また、事務所内には、電話、コピー機、パソコンなど共用する設備がたくさんありますので、それらの設備は清潔に保ち、定期的に消毒を行うなどの取組が必要と言われています。

まとめ

今回は、一般財団法人食品産業センターが公表した「食品製造業における新型コロナウイルス感染症予防ガイドライン」をご紹介してきました。新型コロナウイルスの感染拡大があり、多くの企業ではテレワークなどが導入され、人が密集することを避けて感染拡大を防ぐという対策をとっています。しかし、私たちに食品を提供してくれる食品製造施設などであれば、人の手による作業が絶対に必要になる場面も多くあり、なかなかテレワークを導入することができない…というのが実情なのです。

食品を取り扱う施設ですので、他の業界以上に衛生管理体制が整っていますが、新型コロナウイルスはどこで感染するか分からないものです。したがって、施設内で感染拡大を引き起こさないためには、何よりも従業員の健康管理の徹底と新型コロナウイルスへの正しい知識を持つことが重要になるはずです。一度は収束に向かったように思えた新型コロナウイルス問題ですが、7月以降再度感染拡大が広がってきています。今後もまだまだ予断を許さない状況が続くと思いますので、ぜひ施設内での感染予防対策を徹底していきましょう。

この記事を書いた人

辻中敏

安藤 知広

FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長

1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。