法令/行政
投稿日:2020.10.04
更新日:2022.09.26
新型コロナウイルス感染症の拡大もあり、日本国内の社会生活は大きな変化を余儀なくされています。
わかりやすい例を挙げると、対面での仕事が重視されてきた日本でも、テレワークや在宅勤務などと言った新しい働き方が急速に拡大していっているということでしょう。テレワークは、新型コロナウイルスの感染拡大があり、致し方なく行われるようになった施策のように考えている方も多いかもしれませんが、実は2013年頃から日本政府が推進する『働き方改革』においても重要な位置付けにあったものなのです。日本国内では「女性の仕事と家庭の両立を進めることが働き方改革の実現に近づく」という考えのもと、テレワークが積極的に推進されていましたが、企業側にはなかなか受け入れられなかった…というのが実情でした。しかし、今回の新型コロナウイルス問題が表面化してからは、一気に受け入れられるようになっています。
こういった「働き方の変化」は、食品工場などの製造業界でも起こっています。もちろん、完全な自動化がまだ難しい食品製造業においては、すべての従業員に対してテレワークを導入するわけにはいかないのが現状です。そこで、私たちの食卓を守るための食品工場などでは、徹底した入退場管理や従業員の衛生管理など、感染予防策が行われているのです。食品工場などは、新型コロナウイルスの感染拡大以前から、さまざまなウイルス対策を徹底していた業界ですので、企業として行う管理面での感染予防は他の業界とは一線を画すほど徹底されています。しかし、今回の新型コロナ問題では『三密の防止』まで求められるようになっており、従業員同士が『密』になる場所での対策も必要とされるようになったのです。
そこでこの記事では、業界の特性上テレワークが難しい食品工場などにおいて、従業員同士の『密』を防止するためにはどうすれば良いのかを考えてみたいと思います。
それでは、昨今の新型コロナウイルス感染拡大により、食品工場などで求められるようになった従業員の働き方改革について、『密の防止』という部分にスポットを当ててご紹介していきましょう。
上述したように、人が口にする食品を製造する食品工場などでは、そもそも他の業界とは一線を画すほど徹底した衛生管理対策が講じられています。今年に入って新型コロナウイルスが世界中で拡大したこともあり、こればかりが注目されているのですが、人に害をなすウイルスというものは他にもたくさんあるのです。例えば、これから迎える冬場などでは、『ノロウイルス』による食中毒事故の危険もあるなど、食品製造業は新型コロナウイルスだけが問題となるような業界ではないのです。
そのため、食品関連施設では、施設の建設時点から衛生管理を考慮した設備の選定・設計が行われており、目に見えないウイルスの対策が徹底されているのです。しかし、今回の新型コロナウイルス問題では、こういった管理面での対策だけでなく、『人との接触を減らす』ということが重要とされているのです。食品工場などでも、更衣室や休憩室などのことを考えれば、多くの従業員が集まる場所となるため、どうしても従業員同士の『密』が発生してしまうことになるのです。 こういった従業員同士の『密』による感染拡大リスクも減らすためには、以下のような対策が必要とされています。
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新型コロナウイルス問題が発生してから、テレビなどでもよく耳にするようになった言葉が『社会的距離』や『ソーシャルディスタンス』というものでしょう。新型コロナウイルスの感染拡大を防止するためには、人との接触を避け対人距離を確保することが求められるようになっています。この対人距離は「2.5mを目安」としてこの距離をできるだけ取ることが感染予防になると考えられているのです。 こういった考えのもと、食品製造現場でも対人距離を確保して作業を進めていけるようにするため、業務の方法や動線の点検などが行われ、施設の規模に応じてさまざまな取組が行われるようになっているのです。また、休憩中においても、従業員自らが対人距離の確保に努めるよう指導を行うことも求められるようになっています。 食品製造現場で求められている『社会的距離確保』のための対策例は以下のようなものです。
休憩室や社員食堂は、食品製造施設の中でも比較的感染リスクが高い場所と言われています。日本国内の職場では、休憩や食事の時間が決められており、一斉に休憩室や社員食堂に従業員が集まることになるため『密』が作られてしまうのです。
したがって、こういった従業員同士の『密』を回避するため、以下のような取組が求められています。
更衣室も、多くの従業員が利用する場所となるため、従業員同士が『密』になることを防がなければいけません。
参照資料:「食品製造業における新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」を参照
今回は、昨今の新型コロナウイルス問題の影響で、食品製造現場の働き方がどのように変化していっているのかについてご紹介してきました。この記事でもご紹介したように、食品製造施設では、注意しなければならないウイルスは新型コロナウイルスだけではないため、今回の新型コロナ問題以前ら徹底した衛生管理体制が敷かれています。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大後は、企業が行う管理面の対策だけでなく、従業員同士の接触まで防止する必要があるとされるようになっているのです。
そのため、感染症から従業員の安全や健康を守るため、さまざまな変化がみられるようになっているのです。日本国内の新型コロナウイルス問題については、日常生活の中で全ての人が「密の防止」や「マスクの着用」「手洗い・消毒の徹底」などに注意していることから、ある程度落ち着きを見せるようになっています。しかし、これからインフルエンザの流行時期にも入り、今後ウイルス感染症がどうなっていくのかまだまだ予断を許さない状況と言えるでしょう。
したがって、この記事でご紹介したような従業員の健康を守るための『働き方改革』を進めてみてはいかがでしょうか。
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この記事を書いた人
安藤 知広
FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長
1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。