食品工場建設の流れとパートナー選定
工場を建てるための要件や計画は見えたところで、つぎにすべきことは計画やレイアウトの作成、見積作成を依頼するパートナーを探すことです。まずは、設計図かなということで、設計会社に依頼する。工務店では小さいので建設会社を探して連絡する。規模が大きいのでゼネコンに頼む、食品工場建設は大きなプロジェクトであるため、たくさんの建設会社から選びたい気持ちも分かりますが、まずは食品工場建設の実績がある建設会社の中から選ぶことを勧めます。プロジェクトの進め方、パートナーの選び方も色々あるため、特性を理解して選択することが重要です。
次に、コンペを実施するということになりますが、プロジェクトの進め方には以下のようなスキームがあります。
食品工場建設に限っては、設計施工一貫方式がスキームの特性を生かせ、一番スムーズに進められます。理由として、方式の名称通り設計と施工が一貫しているため、齟齬を防ぐことが最大のメリットです。
また、設計段階から過去の設計・施工のノウハウを盛り込むことができ、施工段階でも計画や設計図の変更に臨機応変に対応できます。
詳しくは、「建設会社を選ぶ」をご覧ください。
三和建設では設計に専任する社員は全社の10~15%で、一般的な建設会社と比べても多い方といえます。また、建築設計(意匠設計)、構造設計、設備設計の各分野の専門家を有しています。お客様の食品工場に関するお問い合わせにも、スピーディに対応が可能です。
予算と見積
BUDGET AND QUOTATION
食品工場の予算計画を立てるにあたって、どんな費用がかかってくるかをおさらいします。
食品工場のライフサイクルコスト
イニシャルコスト
土地の取得/賃貸費用
建物自体の建設費
空調や給排水など機械設備費
動力や照明など電気設備費
敷地や外構の整備費
ランニングコスト
作業機械などのエンジニアリング費
清掃や定期メンテナンスの予算
保管や物流費用
水道光熱費
人件費
補助金
売上目標/想定
これらの数年分を加味し、損益分岐点をシミュレートして、建設予算を策定する必要があります。
おおよその予算が決まり、次に概算見積をとる作業に移りますが、この際によく坪単価が使われます。
坪単位は便利な考え方ですが、一般的な住宅や、オフィスビルなどの単純な建物ではそれほど差異は生じませんが、食品工場では、坪単価に含まれる内容が各社によってバラバラですので、見積の項目や、どこまでの設備が含まれるか条件をしっかり合わせる必要があります。
そもそも、食品工場では概算見積を出すこと自体、かなりハードルが高いです。衛生レベルの設定、冷凍冷蔵設備の有無、物流保管計画など、機械設備の重さや大きさなどすべての情報を、計画段階で正確に提供することは難しいですし、各社の認識レベルにも違いがあるので、設計図が無いと正確な見積は出せません。つまり、単純に見積だけではなく、業務範囲やイメージ図などプロジェクトの内容とともに提案をもらうことで、最終見積とできるだけ差異を縮めるポイントです。
規模にもよりますが、計画から運用までに概ね2年ほどが目安となります。建設期間自体は1年かからず、計画・設計の方が時間を要すのがわかります。しっかりと計画を立てるための進め方を提示していきます。
食品工場建設会社の選定方法
SELECTION METHOD
土木や建築では入札が一般的と思われがちですが、実はそうではありません。つくるものが明確に決まっている、誰がつくっても同じものになるケースでは有効ですが、食品工場のように不確定要素の多い建物については適切ではありません。以下のような方法を参考にしてください。
おすすめ
プロポーザル方式
予算:指定できる
建物に対する企画・提案をしてもらう方法
数社から提案をしてもらい、優れた提案に対して、候補者を選定する。建物の計画は変更可能。
おすすめ
コンペ方式
予算:ずれやすい
具体的な設計案を提出してもらい、最もすぐれた案を採用可能。
設計者の選定には有効だが、あとから設計変更がしにくく予算がずれることがある。
入札方式
予算:抑えられる
施主が提示する条件に対して、一番安い業者を選ぶ方法。求める仕様が決まっている場合はよいが、設計が変更しにくい。事前に設計図(仕様)を決めておく必要がある。
特命方式
予算:融通が利く
1社のみに提案や見積を依頼する方法。実績や技術力を信頼して発注する。計画を一緒に作ることができ柔軟性が高い。予算の融通も利くが、妥当か判断しにくいのでCM会社を入れて査定することもできる。
事前に開示する情報
INFORMATION TO BE DISCLOSED IN ADVANCE
良い提案をもらうためには事前に要件整理をしておく必要があります。提案内容が良くても、支払い方法で取り合いが付かない、トラブル時や竣工後のサポートがないなど、のちのちトラブルになることも多いため、最低限これらの情報を開示しておくと良いでしょう。
目的とコンセプト
背景と現状、今後の目標、設計・施工企業に求めるもの
製品(商品)について
主力品と特色、製造プロセス、製造機器、認証関係
計画概要
建設地、建物の概要、工事範囲、発注者の概要
パートナー選定
決定プロセス、選定方法、委託内容
概算予算
予算、支払い条件、支払方法、工事費の支払い条件
スケジュール
発注先行、設計、届け出、施工、検収・引渡し
施主側の担当者
委託先決定まで、委託先決定後、各種申請窓口
生産エリアについて
面積、見学コース、セキュリティ対策
アフターフォロー
瑕疵担保期間、メンテナンス保証期間
資料関係
必要な添付資料、提出物
プラスアルファの提案
PLUS ALPHA PROPOSAL
BCP(事業継続計画)
大地震・大水害などの有事の際でも従業員の安全を確保し、早期に事業を再開できる態勢を整える必要があります。また、自社の製品・商品を供給することは企業のつとめでもあります。耐震性、避難安全性など長期的ビジョンに基づいた計画を盛り込みます。
SDGsの取り組み
企業の姿勢として、SDGsを意識した建物にする企業も増えてきました。
法律による環境対策はもちろん、一歩進んだ取り組みを盛り込むことで他社との差別化を図ることもできます。
また、太陽光発電などでは、緑地面積の緩和や補助金など直接事業メリットにつながることも多いので積極的に採用していきましょう。
物流機能を備えた工場
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ショールーム化
工場・倉庫は製造業にとって大きな営業ツールの一つです。
様々な食品工場が「見せる化」により安全・安心をアピールし、従業員のモチベーションアップや新規顧客獲得につなげています。
工場・倉庫の「見せる化」で販路拡大
メリット
見させることで、開かれた工場・倉庫の安全性の向上。
従業員のモラルの向上
見られることで、整理整頓、安全等に対するモラルが向上します。
従業員のモチベーションアップ
見学者の反響が従業員のモチベーションアップにつながります。
工場見学による興味喚起
なかなか見ることのできない工場・倉庫内部を一般の方に見てもらえるようにすることで、エンドユーザーの興味を喚起できます。
労働環境改善による求人力アップ
食品工場の見せる化により労働環境改善をすることで、求人力のアップに直結します。
食品工場を建てるための情報は、なかなか世に出てきません。
各社の秘密事項でもあり、食品工場自体取り扱う商品が様々で、普遍的な事例が集まらないということもあるでしょう。
工場を建てるのは10年単位のプロジェクトで、以前の情報は古いものになっています。
FACTASでは、食品工場建設を進める上での教科書になればと思っています。貴社プロジェクトの成功をお祈りしています。