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食品

投稿日:2021.11.12 
更新日:2022.09.26 

食品製造業界における人手不足の現状。ロボットの活用で何が解決できる?

近年、AI技術の飛躍的な進化などもあり、食品製造現場でもロボットの導入が注目され、ロボット導入の推進や製造工程の自動化など、さまざまな最新技術の活用が始まっています。食品製造現場は、季節によって使用する食材が変わってしまうことや、同じ食材でも大きさや色にばらつきがあることから、ロボットによる人手不足解消が非常に難しい業界だと言われ続けてきました。それがここ数年、AI技術や画像認識技術の発達により、総菜や弁当などの製造現場でもロボットの導入が進んでいます。
そこでこの記事では、食品製造業界の人手不足の現状と、ロボットの導入によって何が解決できるのかを簡単にご紹介します。

食品製造現場の人手不足の現状

少子高齢化による労働人口の減少により、さまざまな業界で人手不足が深刻化していると言われています。どの業界でも、ロボットの導入による自動化など、さまざまな対策に取り組んでいます。しかし、食品製造業界は、新たな層の人材確保だけでは業界全体の人手不足の解消は難しいと考えられています。

ここではまず、富士電機が行った「食品製造業における人手不足の実態調査」から、食品製造業界の人手不足の現状を確認しておきたいと思います。

食品製造業の人手不足の状況

引用:食品製造業における人手不足の実態調査

このグラフから分かるように、食品製造業界では約75%もの企業が「人手不足を感じている」と答えています。なおこの調査は「2021年6月25日~6月27日」の期間で行われたものですが、コロナ禍による時差出勤などの影響も少なからずあったと考えられます。

それでは、食品製造業界でこれほどまでの人手不足が生じてしまっている理由はどのようなことが考えられるのでしょうか?

引用:食品製造業における人手不足の実態調査

食品業界で人手不足が生じている理由については、「離職率が高い(42.3%)」という回答が最も多かったようです。それに次いで「退職による欠員(37.8%)」「採用数の不足(32.7%)」の順に続いています。食品製造現場では、立ち仕事や重量物の持ち運びなど、意外に過酷な作業が多く、せっかく獲得した人材でも早期に退職してしまう…というケースも珍しくないと言われています。
さらに現在の食品製造現場では、人材不足が発生していることで、「従業員の時間外労働の増加や休暇取得の減少(50.7%)」「職場の雰囲気の悪化(37.5%)」という問題が生じていると答えた企業が多くなっています。こういった問題は、さらなる退職者を誘引してしまうなど、負のスパイラル状態が懸念されています。

それでは、食品製造業界が人手不足の解消のために取り組んでいる対策もご紹介します。

引用:食品製造業における人手不足の実態調査

このデータから分かるように、食品製造業界では、人手不足解消のためにさまざまな対策に取り組んでいます。ここで注目したいポイントは、さまざまな取り組みの中でも「ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化」が、実際に取り組んだ際に「効果を感じた!」という企業が最も多いということが示されています。

※この記事では調査結果をかなり省略して紹介しています。全てのデータを確認する場合は、公式サイトをご参照ください。
参照データ:食品製造業における人手不足の実態調査

食品製造現場でロボットができること

それでは、食品製造現場にロボットを導入した場合、どのような問題が解決できるのかを考えてみましょう。食品の製造現場では、作業員の働きやすさよりも食品の安全性を重視しなければいけません。そのため、低温下での作業や高温・多湿状態での調理など、過酷な作業をロボットによって自動化できないか?という検討が行われてきました。
しかし、食品製造現場は、日によって取り扱う食材が変わる、工場によって生産規模などが全く異なるといった問題があることから、全体を自動化させるということが非常に難しいとされていました。
そこで、作業全体を賄うのではなく、人とロボットが協働して作業を行っていくという形で自動化が進むようになっています。ここでは、食品製造現場でロボットに任せられる作業をいくつかご紹介します。

食品製造工程で活躍するロボット

上の動画のように、出来上がった食品を掴んで移動させるロボットが実際に導入されるようになっています。モノを掴む方法もさまざまで、ロボットが画像認識をしてトングで食品を摘まむものや、コンビニのホットスナックを揚げる工程から保温ケースに入れる工程まで担うロボットまで登場しています。

現在は、出来上がった食品のパッケージングや商品を段ボールに移動させるなどという工程で実用されている段階ですが、今後さらに実用の幅が広がると言われています。

上の画像は、ロボットが画像認識しながらピッキングを行うというものです。この技術は、製造工程の中において、異物の排除なども期待されています。

最後は、冷蔵・冷凍倉庫間のフォークリフト自動走行の実証実験です。食品を取り扱う現場では、暑さ寒さなど、人間には過酷な作業現場になってしまうケースも珍しくありません。現在、そういった過酷な場所での作業をロボットによって自動化するという技術の開発も進んでいます。

まとめ

今回は、食品製造現場での人手不足の現状と、人手不足解消に有効と考えられているロボットの導入について簡単に解説してきました。この記事でご紹介したように、食品製造現場では、人手不足がかなり深刻化しています。さらに、人手不足から従業員の残業の増加や休暇の減少などが発生しており、これがさらなる従業員の退職に繋がっているという負の連鎖に陥っています。

少子高齢化が進む日本では、さまざまな業界で人手不足が深刻化しているのですが、食品製造業界の人手不足問題については、他の業界以上に解決が難しいという面があるようです。というのも、他の業界は、ロボットによる自動化などの有効な手段が考えられるのですが、食品製造業界はもともと多様な人材を活用し、食品を取り扱うということ、ロボット技術がまだ追いついていないという問題があるためです。ここ数年、AI技術や画像認識技術が飛躍的に進化しており、徐々に食品製造現場にロボットが導入され始めたので、自社のどんな問題が解決できるのかを検討してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

辻中敏

安藤 知広

FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長

1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。