革新/改善
投稿日:2021.10.25
更新日:2022.09.26
2022年4月から「プラスチック資源循環促進法」が施行される予定で、日本国内でもプラスチックごみの削減とリサイクル促進が注目されるようになっています。実際に、2020年7月からは、コンビニやスーパーなどでもレジ袋の有料化がスタートしており、私たちの日常生活の中でもプラスチック削減への取り組みが目に見えるようになっています。さらに今後も、ストローなどのワンウェイプラスチックの有料化が検討されているなど、プラスチックを取り巻く状況が急速に変化しています。
プラスチックは、非常に軽量で丈夫、形成しやすく密閉性も高いという特徴を持っていることから、食品業界では包装材として非常に重宝される素材です。しかし、ほとんどすべてのプラスチックが自然環境では分解されないという特徴を持っていることから、海洋プラスチックごみ問題を引き起こし、海の生態系に悪影響を及ぼしていると言われており、世界中でプラスチックごみの削減やリサイクル強化が喫緊の課題とされています。
そこでこの記事では、プラスチックごみ削減のため、食品関連企業が実際に取り組み始めた工夫をご紹介します。
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それでは、食品関連企業などが行っているプラスチック削減への取り組みについていくつかご紹介していきましょう。プラスチックは、軽量、密閉性が高いという特徴から、食品の長期保存に役立ち食品ロス削減に大きく貢献している素材と言えます。しかしその一方、「ほとんどのプラスチックが自然界で分解されない」という特徴から、さまざまな環境問題を引き起こすようになっています。
日本国内では、レジ袋の有料化がスタートし、今後もワンウエイプラスチック削減のための対策が検討されている状況ですが、EU(欧州連合)圏内では、2022年から「皿やコップなどへの使い捨てプラスチックの使用が完全に禁止となる」など、非常に強い措置がとられることが決定しています。
こういった状況もあり、世界中で活動している大手企業では、独自のプラスチック削減のための工夫を打ち出すようになっています。
世界中に店舗展開を行っているスターバックスは、約28,000店舗でプラスチックストローの使用を廃止すると発表しました。日本国内で展開するスターバックスについては、2020年1月より段階的にプラスチックストローから「FSC® 認証紙ストロー」での提供をスタートし、同年3月に全店約1500店舗に導入すると公表しました。
スターバックスのこの取り組みでは、日本国内だけで年間約2億本のプラスチックストローの削減、全世界では年間約10億本のストロー廃棄削減を実現するとされています。なお、2018年2月には、ロンドン市内のスターバックスにおいて、使い捨てカップ料金の徴収を試験的に導入しています。
これは、つい最近まで行われていたプラスチック削減対策です。スターバックスジャパンでは、2021年6月23日~2021年8月31日の期間で、全国約500店舗の対象店舗で、壊れてしまった、もしくは古くて使わなくなったスターバックスのプラスチック製タンブラーを回収し、店舗の資材や新たな商品にリサイクルする取り組みを行っていました。
なお、今回のプログラム内容を踏まえ、対象店舗の拡大や回収の恒常的な実施に向けた検証を続けると公表されています。
ファミリーレストランのガストやバーミヤンを展開する「すかいらーくホールディングス」では、2018年より石油由来のプラスチック製品の削減のため、以下のような対策を段階的に取り組んでいます。
ネスレ日本では、プラスチックごみの課題解決に向けて、2019年9月下旬出荷分から、「キットカット」の主力製品である大袋タイプ5品の外袋をプラスチックから紙パッケージに変更すると発表しています。なお、今後は個包装での取り組みも進め、2022年までに個包装含めた全梱包素材を100%リサイクル(もしくはリユース)可能なものにすることを目標としています。
参照:ネスレ日本プレスリリース
菓子メーカーのカルビー株式会社では、2020年9月に《プラスチック資源循環の推進目標》を設定しています。
≪プラスチック資源循環の推進目標≫
・2030年までに、石油からあらたに作られるプラスチックを使用した包装容器を50%削減(2018年比)
・2050年までに、包装容器に使用する素材を「100%環境配慮型素材へ転換」
引用:カルビー株式会社
そして、2020年8月より、公式オンラインショップで販売を開始(数量限定)されたポテトチップス『CHIPS NEXT Original』では、包装容器にクラフト包材が使用されています。さらに、カルビー株式会社が運営するアンテナショップでは、紙カップやバイオマスストローの採用など、プラスチック削減に向けた取り組みが行われています。
今回は、食品関連企業が取り組み始めている、プラスチック削減のための具体的な取り組み事例をいくつかご紹介してきました。
使い捨てプラスチックは、海を始めとした地球環境に大きなダメージを与えているとされています。実際に、適切に処分されなかったプラスチックごみが海に流出し、重量換算にすると、2050年には海を漂うプラスチックが魚の量を上回ってしまうという予測が出るほど、海洋汚染の深刻化が進んでいると言われています。数年前には、鼻にストローが詰まったウミガメが、血の涙を流しながら救出された動画が世界中で拡散され、多くの人に衝撃を与えたと言われています。
プラスチックは、食品業界にとって非常に取り扱いやすい素材であることは間違いありませんが、地球環境の改善への一歩として可能な限り削減していく取り組みが必要になると考えられます。
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この記事を書いた人
安藤 知広
FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長
1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。