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投稿日:2024.12.26 
更新日:2024.12.27 

食品工場の人材不足解消のための改修工事事例

食品工場改修工事
 

近年、食品製造業界では、慢性的な人手不足に悩む企業が増えています。少子高齢化が進む日本では、さまざまな業界で人手不足が指摘されていますが、特に食品製造に関わる仕事は人手不足を解消するための手段が他業界と比べて限られている点が課題となっています。例えば、物流業界では、自動倉庫システムや自動搬送ロボットなど、最新技術の導入による省人化が急速に進み、大きな効果が期待されています。

しかし、食品製造の現場に関しては、不定形なモノを多品種少量生産するという特性や、ロボットによる異物混入の可能性、工場ごとの特殊な環境に合わせたオーダーメイドの必要性があり、自動化による省人化が難しい側面があります。また、食品の製造現場は、常に水分や塩分にさらされており、機械の早期劣化やメンテナンスコストが上昇するといった問題も指摘されています。

そこで、食品工場などの食品製造業界では、女性や外国人労働者の積極的な採用を通じて、新たな人材層を確保する取り組みが進んでいます。しかし、新たな層の人材を受け入れるためには、労働環境の整備が欠かせません。特に、外国人労働者を迎える際には、文化や宗教の違いに対応する必要があり、場合によっては施設の改修が求められることもあります。
そこで本記事では、食品工場をはじめとする食品製造業界における人手不足の背景と、その解消に効果的と考えられる改修工事について解説します。

 

食品製造業界で人手不足が起きる理由と一般的な対策について

まずは、食品製造業界で人手不足が深刻化している背景と、その解消に向けた対策について解説します。

 

人手不足が起こる理由

富士電機が行った「食品製造業における人手不足の実態調査概要」によると、食品製造業の人手不足の状況については、75%を超える企業が人手不足を感じていると回答しています。

それでは、食品製造業界の人手不足は何が原因で起きているのでしょうか?以下で主な理由をご紹介します。
 

  • 少子高齢化による労働力不足
    食品製造業界だけに限らず、日本国内の人手不足は、少子高齢化による労働力の減少が大きな理由となっています。日本の人口は、2026年に1億2000万人を下回り、2050年には1億人も割って9700万人にまで減少すると推定されています。さらに、高齢化については、2035年に総人口の3人に1人、2060年には2.5人に1人が65歳以上の高齢者になるとされています。少子高齢化の影響で、生産年齢人口(15歳から64歳)の減少が加速しており、これが食品製造業における人材の確保を困難にする理由になっています。
  • 高い離職率
    先程ご紹介した富士電機の調査データによると、食品製造業界が人手不足に陥っている理由として最も多かった回答は「離職率が高い」でした。離職率の高さにはさまざまな要因が考えられますが、大きな理由の一つに「過酷な労働環境」が挙げられます。食品の製造現場では、自動化が難しい工程も多いため、従業員による手作業に頼る場面が少なくありません。食品を取り扱う際には、何よりも製品の安全性が重視されるため、人が働きやすい環境よりも製造する食品に適した環境下での作業が重要とされます。例えば、高温多湿な環境下でマスクを常に装着しなければならない、その逆に、食品が傷まないように長時間低温環境で作業しなければならないなど、人にとっては過酷な労働環境になりがちで、体力的にも精神的にも長く働くことが難しいという面があるのだと考えられます。
  • 業界へのマイナスイメージ
    食品工場など、製造業界の人手不足の要因としては、製造業への根強いマイナスイメージも影響を与えていると考えられます。製造業界でも、労働環境を改善するための対策が急速に推し進められているものの、「きつい」「汚い」「危険」の3Kが業界のイメージとして定着していて、求職者から敬遠されてしまうことが多いです。さらに、昨今では、海外の大手メーカーなどと比較した際の従業員待遇の格差が目につき、国内の製造業で働きたいと考える人が減っている可能性もあると言われています。

食品製造業界での人手不足は、さまざまな要因が考えられますが、特に上記の3つが影響を与えていると考えられます。

参照:食品製造業における労働力不足克服ビジョン

 

人手不足の解決策とは?

それでは、食品工場の人手不足を解消するためには、どんな方法があるのでしょうか?ここでは、主な対策について紹介します。
 

  • 離職を防ぐ
    人手不足の解消を考えた時には、「新たな人材の採用」と考えがちです。しかし、採用よりも重要になるのが、今働いている従業員の離職を防ぐことです。労働環境を改善せず、今いる従業員が離職する状況のままだと、新たな人材を確保しても長続きしない可能性が高いはずです。したがって、職場の環境整備を進めるなどして、従業員が長く定着できる対策を進めると良いでしょう。
    人材流出対策の一つの手法として「エンゲージメントを向上できる寮をつくる」という方法もあります。寮を活用した人材流出の防止については、三和建設の「HuePLUS」をご覧ください。
  • 新たな層の人材を積極的に採用する
    少子高齢化が進む日本では、人手不足の解消をするためには、これまで積極的に採用してこなかった層にアプローチすることが大切です。実際に、昨今では、食品工場などの製造業界や物流業界などで、女性や外国人労働者の積極的な採用活動が目立つようになっています。
    新たな層の人材を増やすということは、労働環境側の整備も同時に進めなければいけません。今まで男性がメインの職場の場合、女性が求める設備が整っていない可能性が高く、環境の整備をしないまま女性従業員を受け入れた場合には、長く続かない可能性があります。さらに、外国人労働者の場合は、宗教への理解など、作業工程も見直す必要が生じる可能性があります。
  • マイナスなイメージの解消
    先ほど紹介したように、食品工場などの製造業には「きつい」「汚い」「危険」の3Kのイメージが定着しています。そのため、人手不足解消のため、さまざまな手を打ったとしても、このイメージが邪魔をして求職者から敬遠される可能性があります。しかし、業界に根付くマイナスイメージを解消することができれば、新たな人材確保のための有効な対策になる可能性があります。
    例えば、職場環境の整備を行ったのであれば、それを外部にもきちんと伝わるようホームページやSNSなどで自社の魅力として伝えるという方法があります。他にも、工場の外観デザインを整えるという対策も、企業のイメージアップにつながり、採用に好影響を与える可能性があります。

このように、人手不足を根本的な部分から解消するためには、幅広い層の人材が働きやすい、働いてみたいと思えるような施設に改修し周知する必要があると考えられます。
 

具体的な改修ポイントについて

それでは最後に、食品工場の人手不足解消のための改修ポイントについて、いくつかの例を紹介します。
 

女性活躍に関する取り組み

食品工場の中には、男性従業員がメインの職場も少なくありません。この場合、女性従業員の働きやすさが考慮されていない職場環境になっている可能性があります。したがって、女性の積極採用を行う前に、以下のような改修工事を検討しましょう。
 

  • 広々とした清潔なパウダールームの新設、ロッカーの個室化、使いやすいロッカーの整備など、女性従業員が働きやすい環境整備の実施
  • 更衣室やトイレの改修、分離
  • 重量物作業のサポート体制や機器導入による負担軽減
  • 一部生産ラインの自動化

上記以外にも、女性専用の休憩スペースや女性寮を用意するといった対策も有効です。

 

外国人労働者への配慮

製造業界では、外国人労働者の積極的な採用により、人手不足の解消を目指す企業が多いです。外国人労働者を採用する際には、文化や習慣の違いを理解し、以下のような改修工事が必要になるでしょう。

 

  • 宗教的背景に配慮したメニューを提供できるように食堂を改修する
  • 礼拝への配慮として礼拝室やウドゥ用のシャワー室を用意する
  • 外国人労働者のための寮を用意する

 
外国人労働者は、文化や宗教の違いがあるため、さまざまな面に配慮しなければいけません。例えば、イスラム教徒の従業員の場合、就業時間中に礼拝を行うといったケースが考えられますし、日本人従業員とトラブルに発展しないよう、既存従業員にも文化や宗教に関する周知が必要になるでしょう。

 

企業のイメージアップを図るための改修工事

工場の人手不足解消のための改修工事では、自社のイメージアップを図るために改修を行うケースもあります。先ほど紹介したように、製造業は3Kなどのマイナスイメージもあり、求職者から敬遠されているという実情もあるからです。工場や倉庫などの大規模施設は、メンテナンスに多額のコストがかかるという側面があるため、外壁塗装の劣化などを認識していたとしてもしばらくの間は放置されるというケースも多いです。
 
この場合、施設の外観イメージが悪くなり、もともとの業界のマイナスイメージと重なって「きつい職場なのではないか…」などと、求職者にネガティブなイメージを与えるリスクが生じます。つまり、求職者が就職活動を行う上で、最初の段階で候補から外れてしまう可能性が高くなるわけです。そのため、自社のマイナスイメージを払しょくする目的で、施設・設備の改修工事を検討する企業が多くなっています。例えば、以下のような対策が考えられます。
 

  • 外壁、屋根の塗装を行い、企業イメージの刷新や見栄えを良くする
  • 太陽光発電など、再エネ設備の導入で、環境への配慮をアピールする
  • 築年数が経過した工場の場合、意匠性を高めるために建て替えなど大規模リフォームを行う

 
食品工場など、製造業では施設の外観を良くするという対策も人手不足解消に大きく寄与するとされています。
 
採用の際、労働条件が同じなのであれば、職場が綺麗で、建物の意匠性が良い方が好ましいと考える求職者が多いはずです。特に、外国人の方は、施設の意匠性や更衣室、パウダールームなどの利便性を重視する方が多いとされています。

 

施工実績

まとめ

食品工場をはじめとする製造業では、人手不足がますます深刻化しています。記事内でご紹介したように、人手不足を解消するためにはさまざまな対策がありますが、大切なのは自社が置かれている状況をしっかりと把握し、どの改善策が最も効果的であるかを明確にすることです。
 
今回は、工場の改修工事に視点を当て、女性や外国人労働者など、新たな層の人材を確保するために有効と考えられる対策をご紹介しました。現在、採用活動や早期の離職者に悩んでいるという企業様は、お気軽にご相談ください。
 

この記事を書いた人

sande

安藤 知広

FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長

1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。