工場
投稿日:2024.11.27
人の健康や人命そのものに関わる医薬品や健康食品、化粧品などは、厳しい基準の基で製造過程が管理されています。その指標の一つが「GMP」です。
GMPは、「Good Manufacturing Practice」の頭文字をとった略で、日本語では「適正製造規範」と訳され、原材料の受け入れから製造、出荷まで、すべての工程において製品の品質と安全性を確保するための基準となっています。医薬品や医薬部外品、健康食品などの製造を行う企業にとっては、このGMPに対応した工場を建てることが消費者の安全を守るうえで非常に重要とされています。
そこで当記事では、GMPの概要やGMP認定工場について解説します。記事内では、健康食品のGMP認定について、医薬品GMPとの違いなどもご紹介しますので、現在、健康食品のGMP認定工場の建設を検討中であれば、ぜひ参考にしてください。
Contents
まずは、GMPの概要やGMPの三原則について解説します。第三者機関としてGMP認定を行っている公益財団法人 日本健康・栄養食品協会は、GMPについて以下のように説明しています。
GMPは原料の受入れから最終製品の出荷に至るまでの全工程において、「適正な製造管理と品質管理」を求めています。
引用:公益財団法人 日本健康・栄養食品協会サイトより
GMPは、医薬品や医療機器、健康食品や化粧品など、人の健康や安全に関わる製品の製造において、製品の品質と安全性を確保するために定められた基準です。アメリカでは、1960年代から導入され、その後世界各国で採用されるようになっています。日本では、1980年にGMP省令として公布され、医薬品は、この省令にしたがって製造することが義務となっています。
GMPは、医薬品、健康食品の製造において、原材料の受け入れから製造、出荷に至るまで、すべての工程で、適正な製造と品質の管理を求めるものです。具体的には、以下の3つのポイントがGMPの三原則とされています。
それぞれのポイントをもう少しわかりやすく解説します。
製造工程において、人的ミスなどによる品質低下を最小限にするため、以下のような対策が必要とされます。
製品の汚染や品質低下を防ぐためには、以下のような対策が必要とされています。
GMPでは、高い品質を保証するシステムの設計も求められます。例えば、以下のような対策が必要です。
医薬品と健康食品のGMPは、それぞれに異なる特徴があります。
なお、紅麹問題を受け、サプリメントに関しては、GMP認証取得義務化の動きが強まっています。
医薬品や健康食品以外に、化粧品の品質と安全を確保するための基準として化粧品GMPもあります。化粧品GMPに関しては、取得義務はなく安全性をアピールするための自主基準となります。
参照:産経新聞webサイトより
ここからは、健康食品のGMP認定工場についても解説します。
食品の製造過程では、混合などの作業が行われますが、その際、製品中に含まれる成分量にばらつきが出たり、思わぬ異物の混入が発生する可能性があります。GMPは、これらの問題を防ぎ、製品が「安全に」作られ「一定の品質」が保たれるようにするため、製造工程の管理基準を指しています。
上述したように、医薬品については、1980年代からと、以前から製造メーカーに対してGMPが義務として課されていて、日本では「GMP」といえば医薬品を指すという認識が一般的となっています。
しかし、日常生活の中で当たり前のように健康食品が登場するようになった昨今では、健康食品の製造でもGMPの導入が推進されるようになっています。しかし、健康食品の製造に対しては、現在のところGMPの導入が義務ではないため、有名な健康食品メーカーの製品でもGMP認定ではない工場で製造されている製品が多いのも事実です。
それでは、健康食品のGMP認定を受けるには、どうすれば良いのでしょうか?
ここでは、GMP認定工場の認定を受けるまでの流れとGMP認定工場に求められる管理体制について解説します。
GMP認定工場の認定を受けるためには、厚生労働省の「健康食品GMPガイドライン」に基づき、第三者機関による健康食品製造工場の審査・査察を受ける必要があります。現在、日本国内で健康食品のGMP工場の認定審査が認められている第三者機関は、「公益財団法人 日本健康・栄養食品協会」と「一般社団法人 日本健康食品規格協会(JIHFS)」の二つとなります。
ここでは、日本健康・栄養食品協会の認定を受けるまでの流れについて、公式サイトを参考にご紹介します。なお、認定審査を受けるためには「GMPに基づいた管理実績が3カ月程度あること」が前提条件となっているので注意しましょう。
GMP認定は、申請から認定まで「およそ半年から1年間」かかるとされています。また、認定期間は3年間とされていて、認定後も以下のように、細かく調査などが行われます。
GMP認定工場では、さまざまな品質管理が求められています。ここでは、GMP認定工場に求められる品質管理のうち主な項目をご紹介します。
GMP認定工場は、次のような品質管理を厳密に行わなければいけません。
GMP認定工場では、上記のようにさまざまな面において厳しい品質管理が求められます。ただ、「GMP認定工場」として認定されれば、第三者機関に製造する製品の安全性を認めてもらえることを意味しますので、他社との差別化や顧客からの信頼獲得に大きく役立つというメリットがあります。
今回は、GMPの概要と健康食品を作る工場のGMP認定について解説しました。記事内でご紹介したように、健康食品を製造する工場は、GMPの認定を受けることで消費者からの信頼を得ることができ、競合他社との差別化をすることができるようになります。特に、紅麹問題が大きく報じられて以降は、サプリメントを始めとした健康食品の安全性に対して、厳しい目が向けられるようになっています。GMP認定を受けた工場で製造されているかどうかは、消費者も重要視するようになるのではないかと考えられます。
これからGMP認定の取得を目指した工場の改修や新規建設をお考えの企業様は、食品工場建設の実績豊富な三和建設にご相談ください。
この記事を書いた人
安藤 知広
FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長
1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。